発音が似ている韓国語の語彙の謎

中島 彰史

いきなりですが、「トソガン」「キョシル」「ウンドングジャング」これは、韓国語の或る単語の発音をカタカナで表記したものです。意味は想像つきますか。<学校>で用いられる単語なのですが、正解は、「図書館」「教室」「運動場」です。日本語と発音が似ていることが分かりますね。このあたりの事情を説明すると、中国で作られた文字(漢字)の形<漢字の字形>や意味だけではなく、その音(オン)も日本語や韓国語に流入し、漢字からなる単語(漢語)がたくさん日本語や韓国語の語彙の中に存在しています。そして、漢字の音は<漢字音>と呼びますが、日本も韓国もその漢字音はともに中国の隋や唐の時代の音とのつながりが深いので、日本語の漢字音と韓国語の漢字音が互いに似ているのは当然のことと言えます。さらに、日本語と韓国語で意味が共通する単語がたくさんあります(勿論、意味が微妙に異なっているものもあります。例えば、「遠慮」という単語。韓国語では<先々のことまで見通してよく考えること>という意味で使います)。上にあげた三つの単語は漢語で、こういった背景があるので、発音からどういう意味の単語かが日本人には想像がつきやすいのです。

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「辞書力」をつけよう

小原 金平

英語力を向上させるには「辞書力」を伸ばすのが近道です。辞書力とは辞書を活用する能力のことです。周りを見渡してみましょう。語学のできる人は、皆いつも辞書をこまめに引きます。最近は従来の冊子辞書ではなく、電子辞書を使っている人も多いですね。ポケットに入れて持ち運びができますし、何種類かの辞書が収容されていますから便利です。あとは、活用するかどうかです。

辞書力をつけるのに良い本をご紹介しましょう。『辞書からはじめる英語学習』(関山健治著、小学館刊)です。これを読めば今まで知らなかったかも知れない辞書の機能やおもしろさが全部分かり、それだけで英語に自信が持てるでしょう。 この本の中心部分は、「英語辞書引き検定」で学ぶ辞書の読み方で、初級の10級から上級の1級まで夢中になって進んで行くことでしょう。文型について苦手だった人もこれで学ぶことができますから英語学習を兼ねているのです。

書物との出会いと目覚めの後に  ――『バルザックと小さな中国のお針子』――

木梨 由利

さて、今回はいつものイギリス文学の流れから離れて、フランス語で書かれた物語、『バルザックと小さな中国のお針子』をご紹介しましょう。20世紀末に発表されて以来、フランスで愛読されているのは言うまでもなく、世界30カ国語に翻訳されて、各国でベストセラーとなった作品です。

とはいえ、物語の舞台はプロレタリア文化大革命(1966〜76)に揺れる中国です。1968年、17歳の「私」(馬剣鈴)は、高名な医者――資産階級であり、毛沢東体制下では人民の敵――の息子であるために、田舎で「再教育」を受けるべく、親元から引き離されて、山間の寒村へ送られます。目覚まし時計すら無い辺鄙な田舎で、彼は、山のてっぺんの畑まで肥桶を担いで運んだり、落盤の危険の高い炭鉱で石炭を集めたりする苛酷な労働に従事することになります。唯一幸いなのは、1歳上の親友、ルオ(羅)が一緒だということです。ルオは、高名な歯科医の息子で、「私」のようにヴァイオリンを弾いたりなどできませんが、機転が利くという武器があります。例えば「私」が(当時禁止されていた音楽である)モーツアルトの「ソナタ」とは何なのかの説明に窮していると、ルオは「『モーツアルトが毛主席を偲んで』ですよ」と、村長の怒りを巧みにそらしてしまいます。どちらかというときまじめな「私」と、いい加減なところもあるけれども臨機応変に行動できるルオは、助け合いながら困難に耐えていきます。ルオには、また、物語を語る才能があるために、二人は村長によって町へ送られて、そこで見てきた映画を村人たちに語って聞かせる語り部として重宝されるようになります。

『ホビットの冒険』−世界で初めての本格的ファンタジー

水井 雅子

ミレニアムと騒がれた20世紀末からこのかた、ファンタジーの作品が次々と出版されている。半分は純然たる興味からトールキン以外の本にも目を向ける私であるが、全てに目を通す間もないほど、出版界はファンタジーのオンパレードである。しかし、このファンタジーという文学ジャンルを確立したのは、今から半世紀以上も前、イギリスのオックスフォード大学の名物教授だったJ.R.R.トールキン(1892-1973)である。先鞭をつけた作品が『ホビットの冒険―生きて帰りし物語』(1937)であった。この本は出版された当初こそ、爆発的な人気を呼んだわけではなかったのであるが、次第に読者を増やし、その後17年たって、「ホビットの続き」として待ちに待たれた『指輪物語』三部作(1954-56)が出版された時の反応は、一種凄まじいものであった。一大ベストセラーになっただけではない。賛否両論取り混ぜての批評が次々と書かれ、余りの売れ行きに海賊版が出され、それを廻って不買運動が起こり、海賊版を出していた会社が謝罪して回収する等々、20世紀末に『ハリー・ポッター』が出版されて世界各地の子ども達がこの物語を買うために列を作ったとき以上の騒ぎであった。

英語Haiku:読んでみませんか? 作ってみませんか!

川畑 松晴

「古池や...」"The old pond ..."

俳句と言えばやはり芭蕉から始めなければなりませんね。彼の代表作「古池や蛙跳びこむ水の音」の英訳を見てみましょう。世界でもっとも広く知られているこの句には、150を越える英訳があるそうです。ここでは、その中の3首を示します。あなたはどれが好きですか。

1. The old pond; A frog jumps in,- The sound of the water. (R.H.ブライス) 三つのtheが気になりますが、 妥当な訳だとおもいます。 2. Old pond – Frogs jumped in – Sound of water. (ラフカディオ・ハーン) これにはtheがありません。 俳句では冠詞は省略可です。 複数の蛙が跳びこむのも滑稽ですね。 3. The old pond! A frog leapt into – List, the water sound! (リチャード・ライト) これも上と同様過去時制です。 [...]