イタリアの光の中で見えたもの ―『眺めのいい部屋』(1908)―

木梨 由利

二月、従姉のシャーロットに付き添われてフィレンツェに来たルーシーは、ペンションで、アルノ川の眺めの見えない部屋を与えられて落胆しますが、自分たちの部屋と交換することを、エマソン氏とその息子のジョージが申し出ます。偽善を嫌い、自然や本能に重きを置くエマソン氏と、人生の意味を測りかねている無口な青年ジョージは、周囲のイギリス人たちからは、いささか変わり者と思われていて、シャーロットも彼らの態度を無作法と考えますが、ルーシーはむしろ好意を感じとります。

町へ一人で見物にでかけたルーシーが、喧嘩で人が刺されて死ぬ場面に遭遇し失神して倒れかけたところを、居合せたジョージに抱きとめられるという一事件があったあと、彼女は、かねてより知り合いのビーブ牧師に誘われて、馬車で郊外に出掛けます。エマソン親子や小説家のラビッシュ女史も一緒です。一面に菫(すみれ)が咲き乱れる中、歓喜に溢れたルーシーの表情を見たジョージから、彼女は突然キスされてしまいます。ルーシーとシャーロットは、このことは誰にも言わないと約束して、翌朝そそくさとローマへ旅立ちます。

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初級受験講座? ―読解力を伸ばす

小原 金平

語学において語彙力をつける、つまり、ボキャブラリーを増やすことが重要なことは言うまでもないでしょう。しかし、単語を覚える時はできるだけ他の要素と関連させて覚えると、語彙力だけでなく、文法や読解力、英作文の力も伸びるものだ言われています。ある語がどういう構文や語句の中で使われることが多いとか等の知識は無駄に見えて無駄にはなりません。基本語ほど使われ方は限定されているものだし、ことばの大きな部分を占めているのは基本語です。基本語の2千語が10〜20パーセントの頻度で、4千語が5〜10パーセントの頻度で特定の語と共に現われるというデータがあります。私たちはある程度次に来ることばを予想できていますし、そうでないと自然にことばを使うことはできません。例えば、今年は台風による災害が多いのですが、「まさか〜なことになるとは考えられませんでした」というコメントをよく耳にします。こういう場合、「まさか」という表現が出ると、次に「〜なことになるとは」(あるいはその類似形)が来るだろうということは、日本語の話し手なら無意識の内にも予想しているはずです。

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自立することで導かれる本物の愛

水井 雅子

1940年代、第二次世界大戦下のイギリス。戦禍のロンドンを避難して上流階級の若い女性二人が海辺の小さな村に疎開してくる。二人は姉妹である。姉のダイアナは誰もが振り返るほどの美貌の持ち主だが、それだけが取り得のように思われ、扱われ、余りにも美しいので誰も彼女に近づかないことが悩みである。そういうことにさえも気付かない鈍いティモシーだけが、気がめいるほどの感傷的なラブレター攻勢をかけている。ダイアナは好きではないのにティモシーが気の毒で断れない。優しく人が良い21歳である。

世界で一番有名な魔法使い?

木梨 由利

イギリスの伝説や物語には、いろんな魔法使いが登場します。例えば、アーサー王の物語に出てくる偉大なマーリンや、映画化でより身近な存在になった、トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する、叡智と優しさを備えたガンダルフ等……。

けれども、今世界で一番有名な魔法使いと言えば……これは、多分ハリー・ポッターでしょう。なにしろ、彼の活躍を描いた5作品は、歴史上、聖書に次ぐベストセラーで、さらに60ヶ国語にも翻訳され、200ヶ国で愛読されているというのですから。日本でも、つい1ヶ月ほど前にシリーズの第5巻 Harry Potter and the Order of the Phoenix の日本語版 (『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』) が出版され、あちこちの書店の店頭を飾っています。

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謎を解く

中島 彰史

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< 皆さん、こんにちは。英語の勉強は順調に進んでいますか。4月号のこのコーナーでは、英語を勉強する際の留意点などを書きました。今回はタイトルに「謎を解く」と書きましたように、一見すると何故そうなるのか分からない(「分からない」というのは、日本語から英語を眺めて、英語で何故そう言うのか腑に落ちない、ということに今回は限ることにします)現象をとりあげて、不思議でもなんでもないことを示すことによって、英語の理解を深めていただけたらと思います。