頭の中で回転させる

中崎 崇志

頭の働きを表す言葉に『頭の回転』というのがあります。『眠くて頭が回らない』という言い方をすることもありますね。 今回は,回転は回転でも,頭の中で『回転させる』という話です。さて,何を回転させるのでしょうか。

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発達障害について

木村 敦子

近年、発達障害という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。2005年に発達障害者支援法という法律が制定されました。ここで障害というのは、日常生活や社会生活に制限を受けることと捉えられています。つまり、生活をしていく上でいろいろと困ることをかかえているということです。この法律では、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定めています。 文部科学省関連の報告書等によるそれぞれの定義と、多いといわれている特徴は以下の通りです。

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子どもの適応と夫婦関係

前川 浩子

心理学コラム4月号では,「子どもの問題行動の発達は母親の育て方に原因があるのか?」というタイトルで執筆しましたが,このときのコラムで参考にした,菅原ますみ先生が書かれた『個性はどう育つか』の中から,今月も大切な知見をご紹介したいと思います。

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見ているだけで好きになる?

中崎 崇志

人間は,自分の周囲の多くの人たちとの関係を保ちながら生活しています。心理学では,記憶や知覚だけでなく,このような他者との関係におけるさまざまな要素も研究しますが,これらの研究は主に“対人社会心理学”の分野でおこなわれます。対人社会心理学が取り上げる人間どうしの関係には,さまざまなものがあります。不特定多数の他者との関係もあれば,特別な個人との関係もあります。不特定多数の他者との関係とは,例えばネットの掲示板やチャットでのやり取りや,最近流行のオンラインゲームなどがそうですし,特別な個人との関係とは,親子関係や友人関係,職場の同僚や学校の同級生との関係などを指します。

社会心理学が扱う人間関係・対人関係のあり方を整理していくと,大雑把な分類としておよそ「個人と個人の関係」,「個人と集団の関係」,「集団どうしの関係」のようなパターンになります。例えば「個人と個人の関係」についての研究では,印象形成や対人魅力,個人空間などが研究の対象になり,果ては恋愛感情までも数値化して研究します。 今回はその中から“好意”に焦点を当てて,有名な研究を紹介しましょう。私たちは,日常生活の中でさまざまな情報に接しています。それらの情報によって,何かを気に入ったり,嫌いになったりすることがあります。スーパーで買い物をしているとき,繰り返しCMで流される商品についつい目が行ったり,メディアへの露出が多いタレントの好感度が高くなったりすることがありますよね。ここで紹介するのは,このような(おそらく)最も単純な形,すなわち“見ているだけで好意的になる”ことに関わる研究です。

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子どもの問題行動の発達は母親の育て方に原因があるのか?

前川 浩子

殺人などの痛ましい事件がメディアで取り上げられるとき,必ずと言っていいほど,その当事者の生育環境が話題になります。当事者の家族構成や親の育て方に関する情報が,生育歴を調べることによって明らかにされます。そして,親が離婚している,あるいは亡くなっている,親が厳しいしつけをしていたというネガティブな情報がメディアを通して伝わると,私たちは,このような原因が犯罪をおかすことにつながったのではないか,と思い込んでしまうのです。

子どもの問題行動の原因として,最も重視されてきたのが母親の養育に関する問題でした。「母親の愛情不足によって,キレる子どもが育つ」とか,「母親が厳しいしつけをしたために,子どもが非行に走った」などという表現を,一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 しかし,子どもの行動は母親の養育の仕方のみによって発達していくのではなく,子どもが持って生まれた個性と環境要因とが,複雑に相互作用することによって発達していくということが発達心理学によって明らかにされてきました。今回は子どもの問題行動はどのように発達していくのか,ということについて,乳幼児期からの追跡調査を行った研究を紹介することにします。