結果が悪いとやる気は出ない?

中崎 崇志

私たちは,日常生活の中でいろいろなことを経験します。あることをして,それが成功なのか失敗なのか,それが非常に気になる場合もあれば,そもそも成功だの失敗だのを考える必要がない場合もあります。 さて,みなさんは,以前失敗したことをもう一度やらなければならないとき,どう考えるでしょうか。「今度こそ成功してみせる」と意気込むでしょうか。それとも,「また失敗しそうだし,やりたくないなあ」と消極的になるでしょうか。

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子どもの論理性を測定する難しさ 〜ピアジェによる保存課題〜

前川 浩子

子どもはいつ頃から、ものごとを論理的に考えられるようになるのでしょうか。今回は、スイスの心理学者ピアジェ(Piaget, J.)の理論を参考に考えていくことにします(右の図は、クリックすると拡大表示します)。

ピアジェは、自分自身の子どもの様子を観察することで、子どもが持つ自然に成熟していく能力と環境に対する相互作用との関係に興味を抱いたと言われています。子どもは生まれたときから、受動的な存在なわけではなく、外界に積極的に参加する能動的な存在で、外界に対し実験を試み、その結果何が生じたのかを観察する「有能な科学者」である、とピアジェは考えたのです。ピアジェによると、知的能力は4つの質的に異なる段階を経て発達していくとされています。第1期が感覚運動段階(0〜2歳)、第2期が前操作段階(2〜6, 7歳)、第3期が具体的操作段階(7〜11歳)、そして第4期が形式的操作段階(11〜成人)となります。

ヒトの知覚はすべて同じか

中崎 崇志

今年の3月末に,学生時代からずっとお世話になっている先生が勤務先の大学を退職されることになり,研究室の片づけのお手伝いに行きました。その際,ここにある中から,本でも資料でも,好きなものを持っていってよい,とおっしゃられたので,いろいろと頂戴してきました。 その中に,“Cross-cultulal studies of behavior ”という英語の本があります。日本語に訳すと『行動の異文化間研究』とでも呼べばいいでしょうか。だいぶ年季の入った本で,1970年に出版されたものでした。 この本の第1章は『知覚の文化間比較』です。もっとも,30年以上前のことですから,現在のように広範囲に世界をまたいで研究できるわけもなく,かなり限られた範囲での比較になっています。 取りあげられているのは,色の文化差(Ray, 1970)や幾何学的錯視の文化差(Segall et al., 1970)など,『異文化間比較』をキーワードに基本的な知覚を調べたものです。

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「アタマの良さ」を測る−知能検査の開発

木場 深志

アタマの良さを測定しようという試みは、古くから多くの人によってなされてきました。たとえば、ヒトの脳の言語中枢である「ブローカ領域」にその名を残すブローカ(フランスの解剖学者・人類学者・外科医。1824-1880)は、脳の大きさを測定して知能との関係を調べていました。頭蓋計測学といいます。今日ではヒトの脳の大きさや重量とその人の知能との間に直接的な関係があるとは考えられていませんが、それでも私の学生時代(40年も前です)には、そういう研究をしたことがあるという先生がいました。その人によれば、頭蓋の周囲の計測値と知能の間には相関係数で0.1程度の関係があったそうです。相関係数というのは2つのものの関係の強さを表す数字で、この数字が0.1であるということは、両者の間にはわずかな関係があるもののほとんど関係はないといってよく、一方がもう一方によって決定される程度は1%程度であるということを示しています。

対人関係はどうやって発達していくか〜親子関係における最初の変化〜

前川 浩子

ご存じのように、わたしたちの生活の中には、誰かしらとの関わりが存在しています。「いつも誰かと一緒にいないと寂しい」という人もいれば、「ひとりでいるほうが好き」という人もいるでしょう。しかし、「ひとりでいるほうが好き」という人でも、お腹が空けば買い物に行かなくてはなりませんよね。自分以外の人である店の人にお金を払う、という「やりとり」が必ず行われます。現代では、まだ、自動販売機だけで事が足りる、というところまでには至っていませんから、やはり、誰かとの関わりなしでは生活することが難しいといえます。 人づきあいが得意という人もいれば、苦手という人もいるかもれません。では、わたしたちはどのようにして、誰かと関係を築くということができるようになっていくのでしょうか。

対人関係にはさまざまなものがあります。友達との関係、恋人との関係、先生との関係、同僚との関係、きょうだいとの関係、夫婦関係、etc…。たくさんの関係の中で、わたしたちにとって最初に築かれるのが親子関係です。今回はこの親子関係における最初の変化について見ていきたいと思います。