「心理学初級実験」の発表会がおこなわれました

7月24日に,国際文化学科の科目「心理学初級実験」で前期に実施した調査実習の発表会がおこなわれました。

受講者は3チームに分かれ,それぞれのチームごとに何について調査を進めるか,テーマを決めました。そのテーマにそって過去の研究を調べてから,測定のための尺度を作って質問紙を作成し,各チーム100名あまりの人に質問紙を配ってデータを集めました。100名ともなると,配るのは大変な作業です。

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心理学特殊講義I(実験・行動)

心理学特殊講義I(実験・行動)

中崎崇志

『特殊講義』と聞くと『いったい何をするんだろう?』と首をひねる人の方が多いかもしれない。『特殊』という言葉に何やら大げさなものを感じる人もいるだろう。ひょっとすると,心理学の世界でもあまり一般的でない,何か特殊な内容を扱うのかもしれない,と考えるかもしれない。 確かにあまり馴染みのない名前だが,実は大学の講義名としてはそれほど『特殊』なものではない。ある特定の分野のさらにある特定のテーマ,というように,一つの内容だけを深く掘り下げる形の講義を『特殊講義』と呼んでいる。本学で今年度以降開講される心理学特殊講義には,カッコ付でその講義で取り上げる分野が示されるようになった。 今年度の特殊講義の分野は『実験・行動』である。心理学で「行動」と言う場合は,人間ばかりでなく他の動物も含めた生活体の,ありとあらゆる行為や活動を指すので,テーマとしてはかなり幅広い。今回は,その中から『動機と動機づけ』を取り上げた。「何かをしようとする心の働き」そのものを動機,その動機があるのかないのか,あるならどれくらい強いのか,などを扱うのが動機づけ,と言えば,わかってもらえるだろうか。 「お腹が空いてものが食べたくなる」というような単純な動機の解説から始まり,私たちの持つ好奇心=内発的動機や,周囲に人がいるだけで物事への取り組み姿勢が変わってしまう,というような社会心理学的な視点から考えられる動機づけと行動の関係など,幅広く取り上げている。 例えば「お腹が空いた」=空腹状態は,「食べる」行動を起こさせる。言い換えると,「食べる」行動の背景には「空腹」という動機が存在する,ということになる。これだけで済めば単純なのだが,動機には「強さ」がある。「ちょっと小腹が空いた」程度の空腹感なら,そんなに切実に「食べたい」とは思わないだろうし,お菓子をちょっとつまむ程度で満足できる。一方,「忙しくて昼食を抜いてしまって,お腹が空いた」という空腹感は,より強く「食べる」行動を起こさせようとする。そして,食べたことによって空腹状態が解消されると,「食べる」ことへの動機づけは下がる=動機が充足されるので,「食べる」行動そのものが起こりにくくなるわけだ。 私たちは日常生活の中で多様な行動をおこなっていて,その背景にはそれに応じた動機とその強さが存在している。さまざまな角度から,人間(あるいは他の動物)の持つ動機と動機づけについて理解して,自分の行動や他人の行動について考えるきっかけにしてほしい。

【受講生の感想】

高橋 彩 『心理学特殊講義?(実験・行動)』という授業は、私たちがあたりまえに過ごしている日常の中での「お腹がすく」「のどが渇く」「やる気がなくなる」などの簡単なものから複雑なものまで人間の行動や行為などの関係や、その背景に隠れている「なぜそうなるのか」といった動機を学んでいく授業です。 この講義が始まる前は、他の授業のように堅苦しい雰囲気が流れていて、授業が進むのが遅く、眠気を感じさせる授業なのかと予想していました。しかし、授業の回数を重ねていくにつれて心理学ならではの実験の説明や内容、人物など数え切れないほど出てくるけど、担当の先生は私たちが過ごしている日常の中で起きていることなどと関連させながら分かりやすく紹介しているので心理学特殊講義という授業は私が思っているほど分かりにくくて雰囲気が硬い授業ではないということがとても印象に残りました。

中村貴昭 1年生のときに『心理学』、『応用心理学基礎』という授業を受けました。『社会コミュニケーション論』や『プレゼミ』という授業でも心理学に関係する内容がありました。2年生になってからは、『心理学初級実験』、『心理学研究法』、そして『心理学特殊講義?』を受けています。 大学生になって心理学の授業を受けるまで、心理学に対するイメージというものを持っていました。そのイメージを言葉にして伝えるのは少し難しいのですが、やはり人の心や精神的なものが強くあるのだと思います。今まで受けた授業の内容には、人を対象としていない実験・話や、統計に関係する授業もあります。よくよく考えるとあって当然なのですが、心理学の授業を受け始めるまでは、統計の話なんかは全く思ってもみませんでした。 個人的な感覚ではありますが、『心理学特殊講義?』は入学前の心理学のイメージに一番合う内容です。

福嶋悠美 心理学の実験というのは変わったことをすることが多い。そんなところも私が心理学というものに興味を持った一つなのだが、中崎先生の講義では、いろいろ変わった実験や学生の頃の実験の体験話を取り入れながら進んでいく。先生はよく例え話をするのだが、いままで自分のしてきた行動の謎がすっと解ける。 先生の話で,特に覚えている話が二つある。一つ目の話はチョコレートを二つ用意して、一つを普通に食べる。そして特別なお茶を飲み、もう一つのチョコレートを食べる。すると、後から食べたチョコレートの甘みがお茶によって感じなくなり、苦くてまずくなったという話だ。これは歯磨きしたあとにみかんを食べるとおいしくないのと同じ現象である。もう一つの話は、目を閉じてカキ氷のイチゴ味とメロン味を食べ比べると、どっちがどっちだかわからないという話である。どちらの話も身近に起こりえる話だ。このような面白い話が毎回ある。 私はこの「実験・行動」というのは心理学の中でもとくに興味をそそられるところだ。人間のさまざまな行動について考えるというのは、自分の行動でも当てはまることが多い。小さいころからの自分の行動の理由がわかるというのは、とても面白い。しかし、実際に講義を受けてみて思ったのが、思っていたより人間の行動は不可解で、複雑である。話を聞いていてもたまに混乱する。何気なく感じていたことを理論立てて考えると複雑で、よく昔の人は感情を言葉にして考えたなと感心させられる。

ハイステップ・イングリッシュ

ハイステップ・イングリッシュ

リック・ブローダウェイ(訳:中崎 崇志・水井 雅子)

このコースは,海外留学で英語を勉強してきたか,またはこれから留学して勉強することを計画している真面目な学生向けに開講されています。授業はすべて英語でおこなわれ,参加する学生は,授業中も,それ以外の時間でも,4つのスキル(聞く,話す,読む,書く)を積極的に使うことを期待されています。

ラウンドテーブル・ディスカッション

受講者数は,いつも少なく(5〜10名)してあり,全員がお互いに顔を見ながら議論できるように,一つのテーブルを囲んで着席します。ラウンドテーブル・ディスカッションはこの演習の主な活動内容で,先生または学生の1人による発表から議論を始めます。学生は,発表のための準備をきちんとやり,そしてその後の議論に参加する努力をしなければなりません。大変な労力が必要ですが,自由におこなわれる議論は,いつも楽しいものです。学生は,自分の活動に対して,授業の後で”オフライン参加”の成績を与えられます。

テーマごとの単元

この授業には,教科書がありません。その代わり,ボディランゲージ,遺伝対環境(Nature vs. Nurture),人間が地球に与える影響,笑いなどのようなテーマをめぐって,授業が作られていきます。全員が,テーマに関係する内容を持ち寄り,それが授業の内容になっていきます。持ち寄るものは,どんなメディア(文章,音,映像など)にも,どんな情報源(新聞,雑誌,インターネットなど)にもあります。また,学生は自分が関心を持っているテーマを提案してもいいのです。北京オリンピックの開催がもう間もなく開催されるので,最近ある学生は,オリンピックについて学んではどうかと提案しました。学生は,何を持ち込むのかを,幅広く考えるように勧められます。例えば,聖火のトーチのデザイン,中国の大気汚染,ドーピング,ギリシャにおけるオリンピックの起源などについての材料が持ち寄られました。各テーマについての学習は3週間か4週間に渡って続き,その最後にライティングの課題があります。

ライティングの課題

各テーマの学習が終わるごとに,学生は短い解説文(10〜15文)を書くことを求められ,これは1年間で合計6〜8つになります。この文章は,厳密な学究的スタイルに沿って執筆しなければならず,学生は1つのトピックを発展させるか,あるいは理由,事例,データなどの形で与えられた詳細な情報による議論を展開することになります。どのようにこれの文章を書くかについて、学生は明瞭な指導を受け,そしてどのように改訂するかについて多くのフィードバックを与えられます。したがって,学生は質の高い文章を書くことを期待されています。下書きは締切日までにオンラインで提出しなければならず,提出しなければ0点がつけられます。しかし,提出した文章は,何回も改訂して再提出することで,英語力がつき、成績も上がっていきます。

オンライン参加

すでに述べたように,学生たちは”オフライン参加”によって成績がつけられます。つまり、授業中に如何に討論に参加したかどうかが問われているわけです。しかし,学生たちはオンラインでも同じように参加することを求められます。この授業はウェブサイト上でおこなわれますが,このウェブサイトでは,学生がログインすると,彼らの出席状況や成績をチェックしたり,学生のプロフィールを管理したりできます。さらに,学生はこのウェブサイトを,授業時間以外にも授業中のディスカッションを継続するためのフォーラムとして利用することも求められます。このウェブサイトは,インターネットに接続できるコンピュータならアクセス可能なので,学生は自宅や大学内のコンピュータからアクセスできるのです。学生には,このような”オンライン参加”についても,週の終わりごとに成績がついてきます。

用語集とテスト

オフラインとオンラインを使いながら議論を続ける中で,学生はよく知らない言葉に遭遇するかもしれません。もし授業中に見慣れない言葉が出てきたら,教員はそれを記録し,後でウェブサイトに行って,その単元の用語集にその言葉を加えます。学生が,発表の準備をしている最中やオンラインでのディスカッションの間に見慣れない言葉に出会ったら,学生がその言葉を用語集に追加します。こうして,各単元の用語集は,学生が(少なくとも彼らの中の数名が)知らない言葉で埋まり,彼らの知らない言葉のみになります。これらの言葉は,学期の最後に行われる最終テストの内容になります。

成績評価

学生は,以下の基準について各20%ずつの割合で評価されます。基準は,1)出席・参加,2)オンライン参加,3)オフライン参加,4)ライティング,5)テストの5つです。単位を取得するためには,学生は,全体で60%以上の得点を取らなければなりません。学生は,できるだけ良い成績を取るために,自分の進歩をオンラインでチェックできるし,またチェックすべきなのです。得点を追加するための「最後の手段(特別なレポートや再テストなど)」は存在しないので,学生は自分の成績についてかなり注意深くならなければなりません。

学生中心の学習

教員は,ディスカッションを始めることとそれを維持することについては積極的な役割を果たしますが,この演習の最終的な成功や楽しさは,ほとんどが学生自身の毎日の積極的な関与によってもたらされます。学生中心の授業では,学生にはより多くの選択の自由があります。学生には,単元ごとのテーマやディスカッションの話題,ライティングの話題,そしてテストの内容にさえも,選択の自由が与えられています。しかし,この自由には責任が伴います。その責任とは、賢い選択をし、かつ時宜を選ぶべきだということです。学生には,テーマと話題を本当に関心の深いものから選び,自分が提供する材料を早く作り上げ,他のクラスメートが持ってくる材料に関心を持ち,ディスカッションのための綿密な準備をし,定期的にウェブサイトをチェックする,という責任があるのです。

楽しさ

人は,コミュニケーションが大好きな生物です。自分の考えや感情を表現するのが大好きで,他の人を微笑ませ,笑わせ,泣かせることが大好きなのです。異なる性格や想像力を持つ人とお互いに影響し合うことを好みます。それこそが,人が議論を好む理由です。もちろん,外国の言葉でディスカッションすることは,それまでの経験に「挑戦する」という要素が加わることです。だから,毎回の授業は,ステージ上でのパフォーマンスのようなものです。自分が話さなければならないときには,ちょっとした緊張と興奮を感じるでしょう。自分のアイデアを上手に,そしてすんなりと理解してもらえるように表現することに成功したときには,わくわくすることでしょう。この演習では,英語そのものが学習の主題ではありません。英語は,他の人とコミュニケーションするための道具に過ぎません。この授業を通して,仲間と話をするというごく普通の経験をリラックスして楽しむために必要な自信を身につけてほしいと願っています。

High-Step English

High-Step English

Rick Broadaway

   This course is for serious students who have either studied English abroad or are planning to study abroad. Instruction is entirely in English, and students are expected to use all four skills (listening, speaking, reading, and writing) actively ? both during class time and outside of class time.

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心理検査法

心理検査法

木場 深志

心理検査とは何でしょう。心理学事典には、「心理検査は、被検査者(検査を受ける人)に同一刺激を与え、そこから得られる反応の個人差から、知能、学力、性格、適性などの心理学的特性を測る用具」と書かれています。

ある日のこと、突然近くの原っぱにUFOが降りてきたとします。地球を征服しに来たのかも知れないし、友好を求めて来たのかも知れません。やさしい宇宙人かも知れないし、そうでないかも知れません。言葉も通じません。そんなとき我々はどうするでしょうか。 まずは遠巻きにして見ているでしょう。宇宙人には人間たちの姿が見えるでしょう。UFOはひっそりとして、何の動きも見せません。この場合、「遠巻きにしている人間たちの姿」はUFOに対する入力(心理学ではこれを”刺激”と呼びます)であり、「何の動きも見せない」のは、この入力に対するUFOからの出力(これを心理学では”反応”といいます)です。次はどうしましょうか。ハンドマイクで呼びかけてみます(刺激)。UFOの窓に灯りが点きました(反応)。誰かが石を投げました(刺激)。UFOの屋根からアンテナのようなものが出ました(反応)。このように、刺激を順次変えていって、それに対する反応がどう変わるかを観察していると、やがて刺激と反応の関係から、UFOの中の宇宙人がどういう連中なのかという見当がついてきます。つまり宇宙人の目的、知能、性格などについての「仮説」がたてられるのです。この仮説に従って、宇宙人とのつきあいを始めればいいわけです。

ここで人間がUFOに与えたいくつかの刺激のうちで、UFOについての仮説をたてるために有効な反応をUFOから引き出すことができた刺激は、次にまた別のUFOが降りてきた時にも使えるでしょう。やがてはUFOを知るための、ひとそろいの刺激のセットができます(刺激の標準化)。またこのような経験が蓄積されれば、どういう刺激に対してどういう反応が出るのは何パーセントぐらい、とか、こういう刺激に対してこういう反応を示す場合はネクラな宇宙人が乗っていることが多い、とか、様々なことがわかってきます(これが検査結果を解釈するための「解釈仮説」です)。 これが、最初に書いた「心理検査は・・」の意味です。UFOとか宇宙人とかの部分を、知能、性格、学力、適性などに置き換えればいいのです。

これでわかるように、心理検査は受検者の知能や性格についての真実を知るためのものではありません。真実は誰にもわかりません。我々にできることは、「有効な仮説をたてる」ことです。「有効な」というのは何のために有効かというと、たとえば臨床心理学では、その人の悩みや問題の解決のために有効な、あるいは援助・支援のために有効な、ということになるでしょう。

この講義で学ぶことは、上記のような心理検査の基本的な考え方、標準化の手法、解釈仮説の導きかたなど、主に心理検査の理論的な部分です。理論だけではわかりにくいので、実際の心理検査の内容も説明し、時には実際の検査用具にふれてみるという経験もしますが、講義のねらいは基礎理論にあります。将来心理検査を扱うときに、また、自分の研究のために研究用の検査を作ろうとするときに、知識として欠かせない部分です。 (写真は講義で使用した知能検査のビデオの一場面です)