「時間節約のため、主語を省く」

リック・ブローダウェイ (訳: 水井 雅子)

 英語を学ぶ学生は、英語は日本語と違って主語をつけなければならない、ということが分かっています。例えば英語では「新聞を読む」(”Reads the newspaper.”)ではダメなんです。「彼女は新聞を読む」(“She reads the newspaper.”) と言わなくてはいけませんね。言語学者たちはこれを主部・述部連結と言っていますが、英語では主部(She)は述部(reads the newspaper)と密接に結びついています。一方、日本語は話題評言型の言語とでもいうべき言葉で、文の中で主語と述語の関係は、あまり強くありません。日本語では、会議に出席している人たち全員が、何の話題であるのか知っている場合(ここでは、ある特定の女性(She)、ということになるわけですが)、個人的な発言の際には主語を省いてしまいます。これは、普通は英語ではありえません。でも、それが可能なときもあるんですよ。実際、親密な人々の間ではよく聞かれる言い方です。

 主語を省いてしまう例で、一番良く知られているのは、あなたが誰かを見て、その人に何かをしてほしいと言うとき、例えば「黒板に名前を書いてください」(“Write your name on the blackboard.”)と言うような場合です。命令形から主語を外すのは、正しい英語文法と認められています。そして話している相手がだれか、はっきりしないようなときにだけ、主語が使われることになります。例えばこんな状況を想像してみてください。あなたが何人かの友達と、人生ゲームやすごろくなどのボード・ゲームをしているとしましょう。テーブルの向かい側に座っている友達に、「君からだよ」(”You go first.”)という場合がそうですね。

 大抵、主語を外すのは、手短な方がかえって良くなる場合です。例えば、経費のかかる電話をかける(イスタンブールへ電話をかける、ようなね)ときとか、有料の広告を出す場合(「中古のギター売りたし」とか)です。こういった、それ専門の短縮語が出来るのは、経済性に依っているわけです。でも、似たような「時間節約型」の言葉は、日々の会話でもおきることで、特に、忙しい現代の生活の中ではよくあることです。いくつか例を御紹介しましょう。


宝石店に来た、時間のない客

店員:「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」(May I help you?)
客:「いやいや、見てるだけ。」(No, thanks. Just looking.)


ドアが閉まる前に混んだエレベーターから出ようとしている男性

男性:「出ます!」(Getting out!)


ファースト・フードの店で注文しようとしている女性

店員:「(注文したのは)フライド・ポテトですか?」(Did you order French fries?)
女性:「ううん、オニオン・リングよ。」(No, onion rings.)


 出来る限り言葉を縮めても失礼にならない状況を他に考えてみてください。ついでに、一番短い答えも考えてみてください。じゃ、がんばって!(Good luck!)

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