新潟大学の「言語治療室」に勤務 (歯学博士)
寺尾恵美子さん  平成7年3月卒業の金沢女子大第5期生

紹介者 川畑 松晴

 現在新潟大学・医歯学総合病院口腔外科の「言語治療室」に勤務している。1年間技能補佐員として働いたあと、昨年助手として採用され、この4月で2年目となる。仕事は主に、先天性の口蓋裂児が手術を受けたあと、日本語の発音を正常に発達させるための治療と指導である。

 本学の前身である金沢女子大学を卒業したあと、上越教育大学大学院に進み、修了後は三条市役所の「幼児ことばの教室」指導員を経て、現職に就いた寺尾さんに大学時代の思い出、卒業後の研究そして現在のお仕事について書いていただきました。

寺尾 恵美子


 こんにちは。

 平成7年度に(当時)金沢女子大学文学部英米文学科を卒業した当時、自分が10年後にこの仕事をしているとは思いもしませんでした。

 10年前、私は大学生で、ひたすら酒を飲んでました。2年生まで末町に住んでいたので、片町香林坊が遠かったー!!3年生から小立野に引っ越し、私の薔薇色生活が始まりました。そして4年生の時、もう絶対二度とするもんか、と思ったことを体験しました。卒論です。このとき「私は日本語に不自由な人である」ことを痛感しました。これ、大変でした。自分の馬鹿さ加減が身にしみること請け合いです。

 その後、上越教育大学大学院で障害児教育を専攻しました。同級生は現職の教員を含め20人くらいいましたが、そのときは英文科を卒業して障害児教育に来た人はおらず、また障害児に関わったことのない人もいなかったように思います。みんな接し方にすごく慣れていて、私一人どうしていいかわからずにひたすらまごついていたのをよく覚えています。修士論文は自閉症のこどもが対象でした。応用行動分析を勉強し、(これ言うとちゃんとやっている人に石なげられますが)これが現在の私の臨床の基礎になっています。

 修了後、三条市市役所の幼児ことばの教室に臨時指導員として2年間勤務しました。この間実は、某大学の通信教育で小学校教師の資格を取ろうと思っていたのですが、挫折しました。一番大きな原因は、おもしろくなかったからです。こどもみたいな理由ですが。私は性格がオタクなので、ものごとを広く浅く扱うことがすごく苦手なんですね。やろうとしてもできない。ところが小学校教師の課程というのはそれこそが追求されるのです(解釈が間違ってたら済みません。所詮達成できなかった人間の繰り言です)。無理。

 そして2年後、今度は(当時)新潟大学歯学部付属病院、言語治療室に技能補佐として勤務しました。その翌年、助手として採用され、同時に新潟大学大学院歯学研究科に社会人大学院生として入学し、今春、学位を取得できました。ですので、学士は英米文学、修士は障害児教育、博士は歯学という何ともとりとめのない学歴となってしまいました。ついでに言うと、大学で英語教諭の免許、大学院で養護教諭(養護学校の先生)の専修免許、また就職後、博士課程の勉強と平行して言語聴覚士の免許を取り、これ見ると私すっかりコレクターですが、今、実際つかっている(?)のは言語聴覚士のみです。
現在、私は0歳〜80歳、いえ需要があれば90歳でも何歳でも、を対象に、発音を治す仕事をしています。一番多いのは幼児です。

 正常な発音と異常な発音の違いをみつけ、どうして異常な発音になっているのか、また正常な発音にするにはどうしたらいいのか、を考えて実践するのです。口腔外科所属なので、口の中に先天的・後天的に疾患をもつ人たちが多いのですが、そうでない人も少なくありません。吃音の方もいらっしゃいます。
発音の間違いや、発音にコンプレックスを持つ人たちは、speechそのものへの意欲が低下することがあります。ここらへん、英語ができない人が英語圏に行ったときのことを考えると想像がつくと思いますが、それが発音を治すとそれだけで、大きい声で元気よく話すようになったり、会話量が増えたりするのです。その変化が目の前で起こるのです。

 もうホントにいっぱいいっぱいで、毎日どうしよう、どうしたらいいんだろうと思うことだらけですが、そこはオタクだけに、深く狭く考えるのは大好きなので、周囲の人たちの協力を得て、というかその人たちのおかげで、何とか続けています。・・・ときどきオタクってMAZOに近いんじゃないかと思う今日この頃。
自分がオタクだと自覚するあなた、あなたは専門職に向いています。引きこもってないで外に出て、とりあえず何かを始めてみましょう。周りの人はあなたが思ってるより多分優しいです。多分ね。そして私はオタクと違うから、というあなた、あなたはオールマイティに仕事をこなせるでしょう。事務でも営業でも教師でも、ガンガンやっちゃってください。

 とりあえず、自分の10年後の予想は誰にもできないし、できたとしてもそれはハズレです。現実の方がナンボかおもしろいから、絶対。

 と、先輩風をゴーゴーと吹かせたところで終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

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