ハイステップ・イングリッシュ

リック・ブローダウェイ(訳:中崎 崇志・水井 雅子)

 このコースは,海外留学で英語を勉強してきたか,またはこれから留学して勉強することを計画している真面目な学生向けに開講されています。授業はすべて英語でおこなわれ,参加する学生は,授業中も,それ以外の時間でも,4つのスキル(聞く,話す,読む,書く)を積極的に使うことを期待されています。

ラウンドテーブル・ディスカッション

 受講者数は,いつも少なく(5〜10名)してあり,全員がお互いに顔を見ながら議論できるように,一つのテーブルを囲んで着席します。ラウンドテーブル・ディスカッションはこの演習の主な活動内容で,先生または学生の1人による発表から議論を始めます。学生は,発表のための準備をきちんとやり,そしてその後の議論に参加する努力をしなければなりません。大変な労力が必要ですが,自由におこなわれる議論は,いつも楽しいものです。学生は,自分の活動に対して,授業の後で”オフライン参加”の成績を与えられます。

テーマごとの単元

 この授業には,教科書がありません。その代わり,ボディランゲージ,遺伝対環境(Nature vs. Nurture),人間が地球に与える影響,笑いなどのようなテーマをめぐって,授業が作られていきます。全員が,テーマに関係する内容を持ち寄り,それが授業の内容になっていきます。持ち寄るものは,どんなメディア(文章,音,映像など)にも,どんな情報源(新聞,雑誌,インターネットなど)にもあります。また,学生は自分が関心を持っているテーマを提案してもいいのです。北京オリンピックの開催がもう間もなく開催されるので,最近ある学生は,オリンピックについて学んではどうかと提案しました。学生は,何を持ち込むのかを,幅広く考えるように勧められます。例えば,聖火のトーチのデザイン,中国の大気汚染,ドーピング,ギリシャにおけるオリンピックの起源などについての材料が持ち寄られました。各テーマについての学習は3週間か4週間に渡って続き,その最後にライティングの課題があります。

ライティングの課題

 各テーマの学習が終わるごとに,学生は短い解説文(10〜15文)を書くことを求められ,これは1年間で合計6〜8つになります。この文章は,厳密な学究的スタイルに沿って執筆しなければならず,学生は1つのトピックを発展させるか,あるいは理由,事例,データなどの形で与えられた詳細な情報による議論を展開することになります。どのようにこれの文章を書くかについて、学生は明瞭な指導を受け,そしてどのように改訂するかについて多くのフィードバックを与えられます。したがって,学生は質の高い文章を書くことを期待されています。下書きは締切日までにオンラインで提出しなければならず,提出しなければ0点がつけられます。しかし,提出した文章は,何回も改訂して再提出することで,英語力がつき、成績も上がっていきます。

オンライン参加

 すでに述べたように,学生たちは”オフライン参加”によって成績がつけられます。つまり、授業中に如何に討論に参加したかどうかが問われているわけです。しかし,学生たちはオンラインでも同じように参加することを求められます。この授業はウェブサイト上でおこなわれますが,このウェブサイトでは,学生がログインすると,彼らの出席状況や成績をチェックしたり,学生のプロフィールを管理したりできます。さらに,学生はこのウェブサイトを,授業時間以外にも授業中のディスカッションを継続するためのフォーラムとして利用することも求められます。このウェブサイトは,インターネットに接続できるコンピュータならアクセス可能なので,学生は自宅や大学内のコンピュータからアクセスできるのです。学生には,このような”オンライン参加”についても,週の終わりごとに成績がついてきます。

用語集とテスト

 オフラインとオンラインを使いながら議論を続ける中で,学生はよく知らない言葉に遭遇するかもしれません。もし授業中に見慣れない言葉が出てきたら,教員はそれを記録し,後でウェブサイトに行って,その単元の用語集にその言葉を加えます。学生が,発表の準備をしている最中やオンラインでのディスカッションの間に見慣れない言葉に出会ったら,学生がその言葉を用語集に追加します。こうして,各単元の用語集は,学生が(少なくとも彼らの中の数名が)知らない言葉で埋まり,彼らの知らない言葉のみになります。これらの言葉は,学期の最後に行われる最終テストの内容になります。

成績評価

 学生は,以下の基準について各20%ずつの割合で評価されます。基準は,1)出席・参加,2)オンライン参加,3)オフライン参加,4)ライティング,5)テストの5つです。単位を取得するためには,学生は,全体で60%以上の得点を取らなければなりません。学生は,できるだけ良い成績を取るために,自分の進歩をオンラインでチェックできるし,またチェックすべきなのです。得点を追加するための「最後の手段(特別なレポートや再テストなど)」は存在しないので,学生は自分の成績についてかなり注意深くならなければなりません。

学生中心の学習

 教員は,ディスカッションを始めることとそれを維持することについては積極的な役割を果たしますが,この演習の最終的な成功や楽しさは,ほとんどが学生自身の毎日の積極的な関与によってもたらされます。学生中心の授業では,学生にはより多くの選択の自由があります。学生には,単元ごとのテーマやディスカッションの話題,ライティングの話題,そしてテストの内容にさえも,選択の自由が与えられています。しかし,この自由には責任が伴います。その責任とは、賢い選択をし、かつ時宜を選ぶべきだということです。学生には,テーマと話題を本当に関心の深いものから選び,自分が提供する材料を早く作り上げ,他のクラスメートが持ってくる材料に関心を持ち,ディスカッションのための綿密な準備をし,定期的にウェブサイトをチェックする,という責任があるのです。

楽しさ

 人は,コミュニケーションが大好きな生物です。自分の考えや感情を表現するのが大好きで,他の人を微笑ませ,笑わせ,泣かせることが大好きなのです。異なる性格や想像力を持つ人とお互いに影響し合うことを好みます。それこそが,人が議論を好む理由です。もちろん,外国の言葉でディスカッションすることは,それまでの経験に「挑戦する」という要素が加わることです。だから,毎回の授業は,ステージ上でのパフォーマンスのようなものです。自分が話さなければならないときには,ちょっとした緊張と興奮を感じるでしょう。自分のアイデアを上手に,そしてすんなりと理解してもらえるように表現することに成功したときには,わくわくすることでしょう。この演習では,英語そのものが学習の主題ではありません。英語は,他の人とコミュニケーションするための道具に過ぎません。この授業を通して,仲間と話をするというごく普通の経験をリラックスして楽しむために必要な自信を身につけてほしいと願っています。

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