現代英語研究?−新たな改良2006年度版

リック・ブローダウェイ(訳: 中島 彰史)

 私はいつも楽しくいろんなことをディスカッションしています−友人や同僚や学生と。ディスカッションというのは生命力を持ったものです。つまり、それは、意見や考えという小さな種から端を発し、自分自身がいろいろと思考したりや理解したりした事柄をまきながら大きくなっていくからです。光を求めて伸びたり、また、あちこちに触手をのばし栄養となるものを捕らえたりします。到達点がどこなのか、どんな発見があるのかは誰にも本当の所分かりません。これが面白くてワクワクする気持ちを作り出すのです!更に、ディスカッションの途中ではどんなことでも起こりえます。例えば、話題からそれたり、秘話を話したり、言葉遊びをしたり、冗談を言ったり、主張したり、見栄を張ったり、感情が高まったり、爆発させたりするのです。ディスカッションは、スピーチや講演と比べると、いささか混沌としていて、非生産的でとても民主的な場合がよくあり、また時には人生を左右することもあります。ディスカッションは、他の点はともかく、とても人間らしい活動なのです。これが、上級クラスの語学の授業でディスカッションを授業の中心的活動に新たに据えようと決めた理由の一つです。教育者はこのような授業のやり方を議論的だとか双方向的だとか評しているのが普通です。私はむしろ簡単により人間的だと考えた方がいいと思っています。そして、授業をまさにそうしたい−より人間らしいものにしたい−のです。

 私は現在新たな授業計画を試みています。様々な学習目的や学習活動を取り入れたものですが、その中心には学生たちが教室で有意義で充実したディスカッションができるよう動機づけを与えたいという強い望みがあります。このようなクラスでは、英語(英語の形式や文法)は勉強の目標にはならず、会話の中で用いる、互いが取り決めを交わした言葉にすぎません。学生は英語を使うことによって英語を学び、話の内容に注意を払っているから英語を使うことになるのです。

 この場合重要な問題は次のことです。どうしたら学生たちに話の内容に注意を払ってもらえるかということです。そーですね、現実的に考えて、学生全員に授業中ずっと気を張らせるのはまず無理だろうということは誰しもが認めざるを得ません。しかしながら、ディスカッションをしている学生の何人かでも授業を成功裏におさめられるようにすることは実際には可能だと私は信じています。このことを達成するには、授業のあらゆる面、特に授業内容に関して、学生たちにもっと自由や選択権、そして主権を与えなければならないと思っています。

 ここで鍵となる教育用語を二つ−学生中心の(student-centered)教授と内容を基盤にした(content-based)教授−導入させてください。この教授法はどちらも新しいものではありませんが、その実践面での難しさから有効性の点で辛酸をなめてきました。いろいろと問題点があるのです。例えば、教室運営、授業内容の運用、学生の意識をこの種の教室環境に適応させることなどです。このような問題点の多くは結局一つのこと−教師の仕事が更に増えること−を引き起こします。それなら、教師の多くが、これらの方法論の成果が教師の苦労の分に全く見合わないと結論付けて、このようなやり方の授業を取りやめにするのも当然です。

 このような訳で、この計画に費やす私の努力は、学生中心で内容を基盤にした教授法に伴う負担を少なくすることに向けられています。試験的授業用の主な構成ツール(これをContribution Mapと呼びます)を調べることができます。私のホームページに行って、“ITU Project”というタイトルの見出しをクリックしてください。例えば、“Surrogacy”という見出しをクリックすれば、Cmap Toolsというソフトを用いて作ったウェブページが見れます。学生は授業中コンピュータを使わないということをご理解ください。というのも、もしコンピュータを使うと相手と顔を合わせて直接ディスカッションをする作業の妨げになる可能性があるからです。その代わりに、Contribution Mapを使って、授業に何かしら提供するにはいつどうしたらいいかが学生にとって分かるように導いていくようにします。Contribution Mapはまたこのような特定の見出しに関して提供した事柄全てを保存する場所としての役割を果たします。

 レッスン1で、学生は現実の状況と教師の説明を聴き取るというだけの作業をします。(学生がその現状を学習し、話の基本的部分を理解し、必要な関連語彙を身に付けてからでないとディスカッションは実際にはできません)レッスン2では、学生はスピーキングの諸活動を通じてディスカッションという作業をします。また学生は概念地図(Concept Map)作成に取り組み始めます。概念地図とは、例えば代理出産に関連するような、学生たちの現在の知識状態を図で表したものです。(“knowledge map”の下のアイコンをクリックすれば調べることができます)下調べに学生はその話に関連するさまざまな分野の情報源(新聞記事、詩、引用文、法律など)を提供します。それから、その提供されたものを私がContribution Mapに貼りつけていき、インターネット上にリンクさせます。レッスン3では、ライティングスタイル(要約、報告、比較など)の中から一つ選び、話の種を決め、ひとまとまりの文章を書き始めますが、その文章はレッスン1で提示された現状か学生が提供した情報源かに絞られるかもしれません。レッスン4では、学生は書いた文章をお互い読み合い、教師から意見をもらい、様々な分野の観点から話題をディスカッションします。学生が書いた文書はその後集められ、のちの学生が参照したり、参考にしたりすることができるようにContribution Mapに付け加えられます。

 この授業によって、学生が興味をそそられ自らの学習過程にもっと関わりを持ってもらうこと、そして、関連内容を選択したり、自らの認識を築き上げたり、関心を寄せている話題をめぐって学生自身の考えや感情を伝えたりする際にもっと重要な役割を学生に与えることによって、もっとディスカッションにかかわれるよう学生たちに自信を持ってもらうことになればと願っています。

 この授業は上級コースの選択科目ですから、履修しようとする学生は授業中英語しか話さないという心構えができている必要があります。

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