「行動文化基礎演習?」と老舗・哲学堂

槻木 裕

 この基礎演習のテーマは、ズバリ、憲法9条の問題。(どうだ?オッカネーだろう?)。僕の専門である哲学とはかなり離れているけれど、いまどき、なりたての大学生で、哲学がメシより好きという人が、演習が成立する人数で「いる」とは思われないから、このような‘お店’を開いたのである。18、9歳のピーピーのアンチャンやオネエチャンに、100万円の高級和服を売ろうと思っても、そりゃあ、無理だ。いくら老舗(しにせ)でも、マーケットの開拓が大切な時代だ。

 で、お店はまあまあの繁盛。昨年は5、6人。今年は8人。これで見る限り、日本の将来も安泰だ(僕の首もつながる)。こんな硬めのテーマに、これだけ集まれば、十分だ。

 ここでは、問題の核心をつかむことが先決。その核心は、どの法学の教科書にも出ているから、僕でもわかる。次に歴史的背景―これも、このごろ手ごろな歴史のシリーズものが出ているから便利。ただ、やたらと固有名詞が出てきて、哲学の一般化になれた頭には煩わしいが、これは我慢。なーに、昭和30年代は小生のご幼少の頃だから、時代の雰囲気を肌で感じているし、個々の政治家だの安保騒動に覚えがないわけでない。

 昨年は新聞の切り抜きをかなり使用したが、やはり新聞記事ではちょっと浅い。海外派兵などの事態に直面して、「大変だ、大変だ、どうする?どう思う?」と、やたら尋ね回るという感じで、問題が拡散しがち。核心を衝いたコラムは意外と少ない。そこへいくと、江藤淳氏の『1946年憲法』は、もう古いといえば古いが、改憲論議の必要性を説いて、説得力がある。ちょっと残念なのは、これに対抗するだけの護憲論文が今のところ僕の手もとにない、ということだ。昨年、手ごろなものを一つだけ見つけたが、主張がちょっとわかりにくい。でも、今年は、昨年の経験を生かして、護憲側の意見も検討する時間的余裕を作るつもり。ちょろりと見た限りでは、現在の日本の状況や、現在の日本人の頼りない自由、権利意識のもとで、「改憲」を声高に叫ぶことの危惧が、改憲慎重派や護憲派にはあるようだ。これは共感するところ。

 で、だ。「100万円の高級呉服」との関係は?ということになるが、直接に関係ないことは明らかだ。いろんな分野の本を読み、自分で整理する力を少しでも身につけることができたらいい、現実問題を考える複眼的な視点を養えたらいい、スーッと問題の本質に迫って議論できる力が育てられたらいいと、そんなことを漠然と思っている。高級品の帯と派手な友禅模様だけが街を歩いても、さまにならない。大切なのは、着る大学生の気品。それでこそ着物も生きる、との知合いの呉服屋の言にならって、思想という着物を先ずはいろいろ着てみましょうと、高級呉服屋・哲学堂のご主人は種まきに余念がない。言っておくが、このご主人、自分は100万円の着物は身につけたことがないそうだ。

先輩受講者の声

2年 前田 哲宏、小林 和平、山岸 英雄、山本 佳依

 一見すると、テーマが難しいと感じるかもしれないが、先生が適切なアドバイスをしてくれるので、わりと理解しやすいと思う。また、先生があれこれ言って授業を進めるのでなく、参加している一人ひとりが意見を出し合う方式なので、考える力はつくし、友だちも作れる一石二鳥の、とてもいい時間でっせ。担当の槻木先生は、勉強はもちろんのこと、生活面でも頼りになる先生なので、槻木先生を知るためにこの基礎演習?を取るのもいいのでないでしょうか。

現受講者の声

山口 美紗子

 先生の授業のテーマはすごく難しそうだったけど、わかりやすく説明しながら話してくれるので、これからもなんとかやっていけそうだと思っています。

 角 佳代子

 今日の授業は、先生が見たことのないような服で、びっくりしました。内容は、日本の戦争、過去の過ちなどに関わると聞き、私もそのことを考えなくてはいけないと思っています。2年生の方もいらして、一緒に写真というのにも驚きました。

 森 敏之

 まだまだ詳しくは授業のこと、わかりませんが、なんとなく楽しそうで期待しています。

 子安 央恵

 みんなで楽しく勉強していけたらいいなぁと思います。

 石川 加苗

 今まで憲法第9条の細かい内容まで知らなかったので、これから深いところまで知ることができそうで、楽しみです。

 沖野 大輔

 戦後問題に関する議論や、少人数の授業形態で楽しい。

 石川 泉

 今まで直視してこなかった戦後のことなど、知っておくべきことがたくさん聞けそうです。難しい内容だけど、興味はあります。今日の先生の格好にちょっと驚いた(笑)。アレはスーツですか?着物ですか??(笑)

Comments are closed.