児童文学:子どもの本の楽しさと深さを知ろう

水井 雅子

 児童文学とは、文字通り「子どもの本」について知り、考える授業です。子どもの本にも、大人の本と同じくらい多くのジャンルがあります。子どもの場合は、年齢別のジャンルもあるから、大人向けの小説よりもそのジャンルは広いかもしれません。絵本一つとっても、「愛」を語るものから、社会との関係を教えるもの、純粋に楽しみのための本、と様々です。詩、昔話、読み物、これもリアリズム、ファンタジー、ナンセンス。さらにその中に、現代を舞台にしたもの、歴史小説、戦争物語、妖精物語、少女小説、冒険小説、推理もの、と幅広いのです。さらに、子どもの本というだけで読まないのは本当にもったいない、面白くて素敵な物語がたくさんあります。

 授業は通年の一年間ですが、先ず前期は、児童文学にはどのようなジャンルがあり、その典型的な物語にはどんなものがあるのか、又それぞれジャンルの特質やそのジャンルが抱える課題などを、学びます。また、児童文学はイギリスが発祥の地といっても過言ではなく、児童文学では、イギリスは質、量、共にやはりナンバー1です。そのイギリスにおける児童文学の歴史も学びます。また、この授業は国際文化学科だけでなく、日本文学科の選択専門科目でもあるので、児童文学の歴史も学びます。

 後期は、一つのジャンルに焦点をあわせて、深く学びます。作品を鑑賞し(ヴィデオを見ることもあります)、さらに、同じジャンルの作品をいくつか比較して考えたり、作家について学んだり、時代背景について学んだりします。そうやって、様々な面から子どもの本を知り、考えていくことによって、子どもの本とは何なのか、どうして必要なのか、どのような本が理想的なのか、を学生達に自分から見つけていってもらおうと考えています。今年はファンタジーに焦点をあてて、児童文学におけるハイ・ファンタジーの祖とも言える、トールキンの作品(『ホビットの冒険』や『指輪物語』など)を中心に学び、ファンタジーの意味やその機能、その魅力、などを考えていきます。

 子どもの本を知るということは、自分達が大人になって親になったときに、子どもの本を選ぶときの役に立つ、というそれだけではありません。自分が置いてきてしまった子ども時代を、別な子どもの話として体験し直すことでもあります。それは、想像力を養い、他者への思いやりを持つことにつながるものです。児童文学は子どもだけでなく、大人にも大きなものを教えてくれるわけです。読んで楽しい、というそれだけで、十分役に立ってくれてはいるわけですけれど。

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