新刊紹介「英語学習のDO'S, DON'T'S, & MAYBE'S」(時鐘舎)

大場 昌也

 私の新刊「英語学習のDO’S, DON’T'S, & MAYBE’S」が北國新聞社出版局(時鐘舎)から出た。われわれ日本人が英語を学習するときに「したほうが良いこと(DO’S)」,「しないほうが良いこと(DON’T'S)」、「多分したほうが良いこと(MAYBE’S)」を外国語学習理論をおさえた上でエッセイ風にまとめた。ここではその内容を簡単に紹介したいと思う。

本の表紙(1)まず、日本人の英語学習は英米人の英語(母語)習得とは根本的に異なるものだという認識が重要である。われわれはアメリカ人のように英語を話したいとは思うかもしれないが決してアメリカ人になりたいわけではない。
 さらに、インドやアメリカのヒスパニックの人たちのように母語以上に日常生活で英語を必要としているわけでもない。日本人独特の英語学習法が開発されるべきなのである。

(2)具体的に、リーディングの学習では、各段落の最初の一文(トピックセンテンス)を丁寧に読み、そのあとの内容についてなるべく推測しながら読む(トップダウン方式)ことをすすめたい。未知語については前後の語からまずその品詞を予測することが重要である。たとえば、eat(食べる)という動詞が使われていればその左の単語は名詞で「食べる人」を、その右の単語も名詞で「食べられるもの」を表す。

(3)リスニングの学習では、特に会話では、相手の発話の最初の2〜3語を集中して聞くようすすめたい。英語では「過去か現在か」、「肯定か否定か」、「平叙文か疑問文か」等の重要な情報はほとんど最初の2〜3語で表わされる。一方、日本語ではこれらは文末の2〜3語で表わされるので、日本人はたいてい英語の大事な最初の2〜3語を聞き洩らすのである。学習法としては、英語の音と文字がそろった教材をカセットやCDで聞きながらその英語を書き出してみるディクテーションが有効である。これで自分のリスニングの弱点が見つかったらそれに注意しながらシャドーイングやパラレル・リーディングをするとよい。

(4)語彙(単語)の学習では、まず3000語の壁を破りたい。これを超えると未知語の推測力がぐんと増すからである。単語は音としての単語より文字としての単語を中心に覚えたい。/ウワラー/という音よりも water という文字がまず先である。カタカナ英語は日本語に入って意味も音も変わっているものがあるが、それでも我々には重要な基礎単語。どんどん覚えよう。

(5)ライティングやスピーキングでは英文法の力は重要となる。文法はやりすぎてもやらなさすぎても英語の学習の妨げとなる。基本4品詞(名詞、形容詞、動詞、副詞)の区別は基本中の基本である。いわゆる新言語学からの新しい知見をもとに新しい学習英文法が完成しつつあるので、いまだに未来形や五文型、タスキ掛けの受け身文など古めかしい英文法をやっている人は、本書巻末の「英文法テキスト」で新しい英文法に触れてほしい。

 なお、巻末には自作の「R語彙テスト」(読んでわかる単語の数がわかる)や「英文法テスト」(英文法の項目ごとの弱点がわかる)も付けた。前者は帝塚山大のTIESで、後者は金沢学院大のHPでそれぞれサイバー版のコンピューター受験(無料)ができる。それそれ15分、30分の受験後数秒で点数が出るすぐれものである。

 時代がすっかり変わってしまったので、この本がこれからの若い学生の皆さんにどの程度お役に立つかは全く見当がつかないが、私の40年余りの英語学習の七転八倒ぶりは、それはそれで結構楽しめるかもしれない。

 なお、この本は金沢学院大の図書館と文学部研究室には5冊ずつ寄贈してあるので、暇なときなどにパラパラと目を通していただけるとうれしい。質問があったら直接私の研究室に来ていただくか、私のHP(GoogleあるいはYahoo!→大場昌也ホームページ→読者のページ)からメールをいただきたい。

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