教員を目指す人たちのために

新村 知子

 「教える」ということは難しい。楽しいけれど、難しい。そして、何ものにもかえがたい充実感がある。私も、教員になって、早20数年。しかし、小学校の通知表の「指導力」の欄に×が付いていたくらいリーダーシップのなかった私にとっては、最初から苦労の連続だった。

 大学卒業直後、中学校の英語教師になった。授業での指導、生活指導に苦労した。生徒たちが話を聞いてくれない、動いてくれない、子どもたちを信用できない・・・。2年足らずで辞めてしまった。今思い返しても、自分の未熟さに本当に恥ずかしくなる。
 2年のアメリカ留学を経て、東京で教員になった。そこでは、毎日が学びの日々だった。今の自分の英語教員としての力の基礎はこの時に養ってもらったと感じる。
 東京生活を始めてから3年経って、金沢へ戻り、金沢女子大学(現金沢学院大学)で教え始めた。それでも、授業が辛かった。年の近い学生たちの思っていることが分からない、彼女たちのやる気のなさやいらだちが理解できない・・・。うまくいかないことが多く、落ち込む日々だった。

 でも、いろいろな経験をするうちに、ある時気づいた。目の前にいるこの学生たちには、これから長い人生がある、待っている家族がある、楽しめる趣味がある、心を開いている友達がいる。この子達にとっては、決して学校がすべてではないのだ。その長い人生の中で、ある1年間、偶然ではあるが、授業を通して彼女たちの人生と私の人生とがたまたま出会ったのだ・・・。長いようだけれど、たった1年。だから、一回一回の授業でどんなことを教えたかよりも、1年を通して、それが意味のある出会いになるように考えればいいのだと。その中で、私が何をするかが大切なのではなくて、学生たちが私の授業で何をするか、何を得るか、何に気づくかが大切なのだと。

 この時から、学生たちと話をするのが楽しくなった。授業がうまく行かないときも、廊下で学生たちに色々聞いてみる。何が難しいか、どうしてほしいか、何をおもしろいと感じているのか・・・。こういうことを繰り返していくうちに、次第に空回りする授業が少なくなった。学生たちが、自分から私に話しかけてくるようになった。そして、授業の態度や成績とは関係なく、学生たち一人ひとりを、かけがえのない人物と思えるようになった。
 そう考えると、きざなようだけど、やはり教育は愛情だと思う。独りよがりにならずに、どこまで学生の視点からものが見られるか・・・。私もまだまだ学ばねばならないことは多いが、これから教員になる人たちには、授業を、そして生徒たちを楽しんでほしいと思う。そして、いい授業を作っていくために、自分の力を育てて、余裕のある「教え」「学び」ができるようになってほしい。

 今回は、本来は私のリレーエッセイなのだけれど、私の教え子で、現在新潟で教員をしている渡辺由紀子さんからの教員報告を紹介したいと思います。
 これから教員を目指す人たちにも、必ず参考になると思います。

 


渡辺由紀子さん(新発田市立猿橋中学校)

 学院大学のみなさんこんにちは。
 新潟県の中越地方は御存知の通り、地震で大変な被害を受けています。私が住んでいるのは震源地から離れている下越地方で、地震の被害はありませんでした。しかし、最初の地震の日は「震度5」。今まで経験したことのない揺れに本当に驚きました。その晩も余震で何度も目が覚めました。先日も授業中に震度3の地震があり驚きました。中越の学校に勤務している友人は、今も余震が来る度にヘルメットをかぶって避難しているそうです。

 さて、教員として1年7ヶ月が経ちました。毎日の授業、生徒指導など苦労は多いです。授業がうまくいかなかったり、厳しく指導しなければならない場面で躊躇することもあり、時には「やめてしまいたい」ということもあります。しかし、行事などで子どもたちが見せてくれる、力強いパワーやすばらしい感動を得ながら、何とか頑張っています。
 以前にもBreezeに書かせていただきましたが、私は大学卒業から、教員採用試験合格まで約10年もの道のりを歩みました。今回は私が本気で合格を目指した1年にどのようなことをしたかを書かせていただきたいと思います。

 まず英語についてです。受験勉強に主に使った問題集は3冊です。1冊目は、大学時代に新村先生の授業でも使った、Donald A. Azarの“Understanding and Using English Grammar” (Volume A, B) Prentice-Hallです。私は日本語版の、小田眞幸訳「エイザーのわかって使える英文法(上・下巻)」プレンティスホールを毎日少しずつやりました。文法事項の繰り返し学習的な参考書だと思います。2、3冊目は、一緒に教員採用試験を目指していた友人からの薦めで使った参考書です。まず、中原道喜著「英語長文問題精講」旺文社。これは大学受験を目指す人のための参考書ですが、とても難しかったです。わからない単語は必ず辞書で調べました。途中で投げ出したくなるような参考書でしたが、「これを終えなければ、教採は合格しない!」と願を賭け、最後まで終えました。その後、中原道喜著「基礎英語長文問題精講」 旺文社をやりました。私は、講師をしながらの受験だったので、非常に焦っていて難しい方から始めました。時間があれば「基礎英語長文問題精講」から始めた方が良いのかもしれません。ちなみにこの参考書を薦めてくれた友人も、同じ年に高校に採用されました。それ以外には、リスニングや面接対策として、NHKラジオ講座「英会話レッツスピーク」を毎日聞きました。英語学習は苦しいですが、とにかく毎日勉強することが基本ではないかと思っています。

 教職教養は、教職ビデオ『パーフェクト講座 教職教養コース コア講座テキスト』(時事通信社)を使いました。教員採用試験に出そうな問題が厳選されていて、ビデオを観ながらの学習だったで、能率よく勉強できました。

 面接は、模擬面接を受け、面接官の先生にいろいろアドバイスを受けました。

 採用は総合的に判断されると言われていますが、やはり教科の力が一番だと思います。実際現場に勤務していても教科の力はかなり問われるところです。

 学院大学は、教員採用試験に向けて先生方は非常に熱を入れてくださって思います。大学で行われている採用試験向けの講座などに積極的に参加すると良いと思います。
 来年の受験まで約8ヶ月ですが、夢に向かってあきらめることなく最善を尽くしてください。努力は必ず報われると信じています!!

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