加賀宝生能を鑑賞し、古典の息吹に触れました

 去る7月7日(日)、石川県立能楽堂で加賀宝生能を鑑賞しました。日本文学科の定例行事となっている鑑賞会です。演目は、①能「籠太鼓(ろうだいこ)」②狂言「伯母ヶ酒」(おばがさけ)③能「鵺(ぬえ)」。
 「籠太鼓」は、殺人の罪で捕えられたが脱牢した夫の身代りとして入牢した妻、彼女が夫の罪の許しを得るための演技がみものです。牢屋で狂った真似をする「偽りの物狂能」は、表現の仕方が非常に難しいと思われますが、物狂いを装う最も肝要なところをゆっくりとしたペースで演じることで、そのあたりをみごと乗り切っているように感じました。
 狂言の「伯母ヶ酒」に登場するケチで酒をなかなか飲ませない酒屋の伯母、こんな人は今でもよく見かけます。甥は、人食い鬼の面をかぶって伯母を脅し酒を振る舞わさせますが、結局酔っぱらって正体を見破られました。3年生の男子学生が言うには、「ケチな人を攻略するのは、なかなか簡単ではないわけですね。」
 「鵺」については、鑑賞した学生(1年生女子)の感想を載せておきましょう。
 僧の前に恐ろしい形相で現れた鵺が、自分が源頼政の矢により射殺された瞬間を激しい身振りで表現するシーン、これが最も印象に残りました。閉じた扇子を鋭く突き出し飛来する矢を示す鵺には、怒りや悔しさだけではない、深い哀しみが伝わってきました。死んでしまった自分(鵺)と、その自分を殺すことで栄光を手に入れた頼政。殺される者の悲しみを踏み台にした栄光です。この対照が、よくあらわれていたと思います。楽器、謡、舞、演技、衣装といったさまざまの要素が集まって舞台を盛り上げている点が、能の興味深いところだと感じました。 (H・Y)

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